» 形状記憶合金(KIOKALLOY)の製造
(1)製造方法
使用目的に応じた変態点、機械的性質を有する材料を製造するには、化学成分(主成分、不純物)の厳しいコントロールと加工、熱処理の最適条件を選定することが必要です。大同特殊鋼では、長年の研究により独自に開発したプラズマ溶解炉を用いて、不活性Ar雰囲気下で完全非汚染溶解及び造塊法を採用して均一、清浄な鋳塊を得、さらに真空アーク溶解、鍛造、線材圧延等の高級特殊鋼の加工技術を駆使して加工し、ユーザーの要求を十分満足する製品を製造しております。
(2)化学成分
化学成分表
項 目
| Ni
| Ti
| Co
| Cu
|
NI-Ti合金(KIOKALLOY)
| 54~56
| 残
| -
| -
|
Ni-Ti-Co合金(KIOKALLOY-S)
| 53~55
| 残
| 1~3
| -
|
Ni-Ti-Cu合金(KIOKALLOY-T)
| 47~50
| 残
| -
| 5~8
|
C,O,N,Hはきわめて低くコントロールされております。
(3)変態点
項 目
| Ms
| Af
|
KIOKALLOY
| -50~100
| 20~100
|
KIOKALLOY-S
| 30℃以下
| -30~30
|
KIOKALLOY-T
| --
| 40~70
|
(4)素材製造可能範囲
線
| φ0.2 ~φ10.0mm
|
棒
| φ3.0 ~φ50.0mm
|
板厚
| 0.05~5mm
|
巾
| 2.0~200mm
|
その他の寸法、及び形状につきましては御相談下さい。
(5)加工方法
① 熱間加工
温度コントロールを厳しくすることにより鍛造、圧延を行うことが出来ます。
② 伸 線
Af温度により伸線の難易度が異なります。Af温度が低いほど伸線加工は難しく、
KIOKALLOY-Sはさらに伸線加工が困難です。
温間伸線を採用することにより加工率を大きく出来ます。(温間伸線、特許申請中)
③ 熱処理
形状記憶熱処理は憶えさせようとする形状に材料を拘束し、300~600℃に加熱して行います。
この温度は変態点の制御のために適切な温度を選定します。400℃を超えると大気中では酸化します。
ただし短時間であれば500℃でも薄いテンパーカラーがつく程度です。
高温あるいは長時間保持をする場合には、真空中あるいはAr等不活性ガス雰囲気を要します。
④ 機械加工
切削性は悪いですが、超硬工具を使えば可能です。穴あけ(ドリル穴あけ)は特に困難です。
切断は放電加工が最も適しています
⑤ 溶接、ろう付
本合金同志の溶接(TIG)は可能ですが、異種金属との溶接は出来ません。
ろう付は他の金属でも可能です。いずれもAr等不活性雰囲気中で行うことが必要です。
ろう付は他の金属でも可能です。いずれもAr等不活性雰囲気中で行うことが必要です。