本文へ移動

形状記憶合金の基礎と応用

形状記憶合金の基礎

 

形状記憶合金とは?

 
普通の金属材料は、外から大きな力を加えると変形前の形に戻ることはありません。このような性質を利用して私たちは今日、金属を自由な形に変形して利用しています。ところが、ある種類の金属材料では、変形後にある一定の温度以上に加熱すると元の形状に回復する性質をもつ合金があります。これが元の形状記憶している合金という意味で、「形状記憶合金」と呼ばれ、この現象を「形状記憶効果」と呼んでいます。最近はブラジャーなどによく使われています。また、変形後に力をはなすだけで瞬時に元の形状に回復する性質をもつ合金もあります。これを「超弾性合金」と呼び、携帯電話のアンテナやメガネのフレームなどによく使われています。

 

 
 

形状記憶合金の歴史とこれから

 
形状記憶効果は、1951年に米国コロンビア大学のReadらによって、Au-Cd(金-カドニウム)合金において最初に見出されたことに始まり、1963年にTi-Ni(チタン-ニッケル)合金、1970年代はじめにCu-Al-Ni(銅-アルミニウム-ニッケル)合金において、明らかにされました。超弾性は、それより前の1932年Olanderによって、同じAu-Cd合金において見つけられました。このような興味のある現象を起こす形状記憶合金は、この性質を利用した様々な機能性金属材料としての応用製品が考えられています。たとえば、人工臓器、整形外科、歯科矯正などの医療分野、携帯電話のアンテナ、温度制御のアクチュエーター、パイプの継手、メガネのフレームなどの工業分野、また、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱エンジンなどのエネルギー分野などがあります。現在、これらの応用製品はTi-Ni合金系が主に利用されており、これまで以上にこの形状記憶効果を利用する製品を広げることが今後の課題であります。ぜひ、21世紀をになう子供たちが形状記憶合金に興味を持ち、いろいろなアイディアが出てくることを楽しみにしています。形状記憶している合金という意味で、「形状記憶合金」と呼ばれ、この現象を「形状記憶効果」と呼んでいます。最近はブラジャーなどによく使われています。また、変形後に力をはなすだけで瞬時に元の形状に回復する性質をもつ合金もあります。これを「超弾性合金」と呼び、携帯電話のアンテナやメガネのフレームなどによく使われています。

 

 

 

形状記憶効果のメカニズム

 
 

原子の配列により性質は変わる

金属は、原子配列の仕方、すなわち結晶構造が変化すること性質が変化します。金属では、結晶構造が変わることを「相変態」と呼んでいます。相変態の身近な例をあげると、私たちが生きていくに必要な水も相変態が起きています。水は固体(氷)、液体(水)および気体(水蒸気)の3つの状態に変化し、0℃で固体(氷)から液体(水)へ、100℃で液体(水)から気体(水蒸気)へ変化します。このように状態が変化することを相変態といい、状態が変化する温度を変態点(変態温度)と呼びます
 
 
 

原子の結合の手がポイント

通常の金属材料は、外から大きな力を加えて変形させると、金属原子が隣の原子との結合の手を切り離して次の原子と結合の手を結びながら変形していきます。そのため、元の形状に戻そうと思っても結合の手がいったん切れてしまっているため、元の形状に戻ることはできません。一方、形状記憶合金は変形しやすいマルテンサイト相で変形すると、金属原子の結合の手を切り離さず他の原子と一緒に位置を少しずつずらしながら変形の方向に変形するため、結合の手が切れていません。そのため、加熱してオーステナイト相に逆変態させると、結合の手が元の位置に戻ろうとして変形前の形状に戻ることができるのです。
 
 

形状記憶合金の応用

現在、最も広く実用化されている形状記憶合金は、Ti(チタン)とNi(ニッケル)が1:1の割合の化合物であるTi-Ni合金であります。この合金は、形状記憶特性が良く、耐食性が優れています。また、低温でのマルテンサイト相では柔らかくて発生する力が小さく、高温のオーステナイト相(母相)では堅くて発生する力が強いという特徴を持っています。これらの特徴を利用してTi-Ni形状記憶合金が実際にどのように使われているのでしょうか?

 

お湯、水の排出制御に応用

 

お湯の時と冷水の時で水の流れる方向の制御に応用した例です。これは、温度によって相変態し高温では発生力が大きく、低温では発生力が小さいという形状記憶合金と、温度によって発生力が変化せず一定のステンレスばねを組み合わせることにより可能になります。冷たい水の時、形状記憶合金ばねは、変態点より低い温度の状態、すなわちマルテンサイト相であり発生力が小さいのでステンレスばねの力に負けて左側に押されてしまいます。また、暖かいお湯が出てくると、形状記憶合金ばねは変態点より高い温度の状態、すなわちオーステナイト相(母相)になりステンレスばねより強い発生力で形状回復し右側に動きます。このように温度によって形状記憶合金の発生力が変わる性質を利用してお湯、水の排出の制御に応用しています。



 

方向性を持つ形状記憶合金の応用

 

 
二方向性形状記憶効果という特殊な性質を利用した魚のアンコウとトビウオのモデルです。通常の形状記憶合金では、高温側のオーステナイト相の状態しか形状記憶していませんが、特殊な熱処理(形状記憶処理)をすると、低温側のマルテンサイト相の状態も形状記憶することができます。
株式会社アクトメント
〒344-0057
埼玉県春日部市南栄町7番地15号
TEL.048-761-1611
FAX.048-761-6144
◆12時-13時はお昼休憩です◆

1.形状記憶合金の加工・応用製品
2.医療機器向け部品の加工・製造
3.工業用ばね加工・製造
4.形状記憶合金材の小口販売
5.クラス1医療機器の製造・販売
TOPへ戻る