形状記憶合金の基礎
形状記憶合金とは?
形状記憶合金の歴史
形状記憶効果は、1951年に米国コロンビア大学のReadらによって、Au-Cd(金-カドニウム)合金において最初に見出されたことに始まり、1963年にTi-Ni(チタン-ニッケル)合金、1970年代はじめにCu-Al-Ni(銅-アルミニウム-ニッケル)合金において、明らかにされました。超弾性は、それより前の1932年Olanderによって、同じAu-Cd合金において見つけられました。このような興味のある現象を起こす形状記憶合金は、この性質を利用した様々な機能性金属材料としての応用製品が考えられています。たとえば、人工臓器、整形外科、歯科矯正などの医療分野、携帯電話のアンテナ、温度制御のアクチュエーター、パイプの継手、メガネのフレームなどの工業分野、また、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱エンジンなどのエネルギー分野などがあります。現在、これらの応用製品はTi-Ni合金系が主に利用されており、これまで以上にこの形状記憶効果を利用する製品を広げることが今後の課題であります。ぜひ、21世紀をになう子供たちが形状記憶合金に興味を持ち、いろいろなアイディアが出てくることを楽しみにしています。
形状を記憶している合金という意味で、「形状記憶合金」と呼ばれ、この現象を「形状記憶効果」と呼んでいます。1990年代には下着等に用いられていました。2000年代にはディーゼルエンジンの燃料噴射のタイミングを変える部品にも活用されています。
変形後に力を放すだけで瞬時に元の形状に回復する「超弾性効果」の性質をもつ合金もあります。これを「超弾性合金」と呼び、2000年代には携帯電話のアンテナやメガネのフレーム、犬型ロボットのしっぽなどに活用されました。
形状記憶効果のメカニズム
形状記憶合金の応用
現在、最も広く実用化されている形状記憶合金は、Ti(チタン)とNi(ニッケル)が1:1の割合の化合物であるTi-Ni合金であります。この合金は、形状記憶特性が良く、耐食性が優れています。また、低温でのマルテンサイト相では柔らかくて発生する力が小さく、高温のオーステナイト相(母相)では堅くて発生する力が強いという特徴を持っています。これらの特徴を利用してTi-Ni形状記憶合金が実際にどのように使われているのでしょうか?