本文へ移動

NiTi形状記憶合金製矯正器具による巻き爪の治療

Treatment of pincer nails using the devices made of NiTi shape-memory alloys
「NiTi形状記憶合金製矯正器具による巻き爪の治療」
 
林 美穂,高橋英至,張本敦子
Miho HAYASHI,Eishi TAKAHASHI,Atsuko HARIMOTO
 
秀和綜合病院皮膚科
Department of Dermatology,Shuwa General Hospital
 
論文責任者
林美穂:秀和綜合病院皮膚科
(〒344-0035埼玉県春日部市谷原新田1200)
 
キーワード:巻き爪,形状記憶合金製矯正器具,NiTi形状記憶合金

要旨

今回我々は形状記憶合金(NiTi)をもちいたステント状の矯正器具による巻き爪の治療を行い良好な結果を得た.形状記憶合金(NiTi)は医療用材料としての安全性が確認されているが加工性が悪く今回初めて矯正器具を作成することが出来た.矯正器具は爪甲遊離縁を上下から挟みこむようにして装着するため従来の巻き爪治療法と比較しても簡便,低侵襲である.今後の巻き爪治療の新たな選択肢として極めて有用であると考えたのでここに報告する.

はじめに

巻き爪,陥入爪は現在までに様々な治療法が工夫され試みられてきたが近年外科的治療法から保存的治療法が主流となりつつあり,アクリル固定ガタ―法1),アンカーテーピング法1),VHO式矯正法2),形状記憶合金(NiTi)製ワイヤー法2),形状記憶合金(Cu-Al-Mn)製矯正器具3,4)等様々な方法が行われている.今回我々は同意を得た患者12名に対して新たな保存的治療としてNiTi形状記憶合金製矯正器具を用いた巻き爪の治療を行った.

対象

対象は2011年4月から2012年3月の間に母趾の巻き爪を主訴に来院,または当院フットケア外来にて母趾の巻き爪と診断された患者のうち,金属アレルギーやコントロール不良の糖尿病・血行障害がなく,使用部位に感染・肉芽などがない患者とした.巻き爪は爪甲の側縁が内側に彎曲し,少なくとも片側で爪甲と爪縁の接線の角度が90度以下であることを基準とした(図1-a,b).矯正器具を装着したのは12名(年齢28~77歳,男性3名,女性9名),総爪甲数17例であった.さらに対象者からはNiTi形状記憶合金製矯正器具使用の同意を得た.

方法

矯正器具はNiTi形状記憶合金製で断面形状はC形状(図2-a,b).開口スリットは1.0または1.2mm,幅は15~18mmで患者の爪甲遊離縁の厚み,幅に合わせ選択した.対象者患趾の爪甲遊離縁を上下から挟み込むよう矯正器具を装着し,脱落を防ぐため軟組織接合用接着剤で固定(図2-c,d).テープや絆創膏等での固定はせず,アンカーテーピング法等の併用処置もしなかった.矯正器具より爪甲遊離縁の幅が広すぎる場合や変形が強く爪甲遊離縁全体への装着が難しい場合は特に変形の強い部分にのみ矯正器具を装着し,矯正器具が外れてしまった時は出来るだけ早く来院して頂き再装着とした.矯正器具装着時,装着2週間後と4週間後,装着終了後4週間で来院していただき効果を判定した.

評価方法

矯正器具装着前に計測
装着2週間後に矯正器具を装着したまま計測
装着4週間後は矯正器具を外して計測
装着終了後4週間で計測
 
以上の計4回計測し小坂らの報告5)に基づき爪高指数(爪甲先端の爪高/爪甲先端の爪幅)を用い爪甲の彎曲を評価した.さらにそれぞれ自覚症状の有無を確認した.また,爪甲が「の」の字に巻いている症例についてはこの指数で評価できなかったため評価対象から外した。

結果

矯正器具装着時,装着2週間後と4週間後,装着終了後4週間で来院され効果を判定できたのは11名,総爪甲数15例.爪高指数を客観的に分析した結果を示す(表1).また,症例1の矯正器具装着前後,装着2週間後,装着4週間後の写真を示す(図3). 装着後2週間で15例全てに爪高指数の改善を認め,15例平均の爪高指数の推移は装着時57.5%,2週間後に40.1%,4週間後で36.1%と装着後2週間での効果が大きいことが分かった.80%の症例で装着終了後4週間たっても開始時と比較して効果が継続していたが,20%の症例で再発が認められた.再発した症例では開始時より巻き爪が悪化していた. 開始時7例に時々日常生活に支障がある中等度の自発痛・圧痛があったが,早い例では装着直後,遅くとも装着後2週間で消失した. 爪甲遊離縁の一部のみに矯正器具を装着した例でも同様の結果が得られた.また,爪甲が「の」の字に巻いていた症例についても良好な結果が得られたため,参考として半年間矯正器具を装着し経過をおった.右母趾を症例16,左母趾を症例17とし経過写真を添える(図4,5).
株式会社アクトメント
〒344-0057
埼玉県春日部市南栄町7番地15号
TEL.048-761-1611
FAX.048-761-6144
1.線ばね製品
2.プレス(板ばね)製品
3.プレス金型製作
4.新しい素材の加工
5.医療用器具の製品開発
6.形状記憶合金の製品開発
TOPへ戻る