繰返し荷重下で使用されるばねは、常に繰り返しの変形を受けることになるので、ある変形を受けた時、元の形に復元することは勿論エンジンの弁ばねのように、大きい変形を繰り返しても、破壊又は著しい変形を生じないようにすることが最も重要である。寿命を考えるには、応力を基準としており、降伏応力まで荷重を加えれば、当然変形してしまうが、弾性限以下でも、数多くの繰り返しを行うことにより、永久変形(これをへたりと言う)を生ずるか、または破壊に至る。この現象を疲れといっている。
以下に疲れ強さに影響する諸因子の概要を述べる。
@ 材料などとの一般関係
ごく一般には、平滑材の場合の疲れ限度は引張り強さに依存する。ばね用材料においても単に鋼種が変わっても同一引張り強さであれば、同じような条件でほぼ等しい疲れ限度を示す。したがって一般の疲れ強さについてのみ言えば、添加元素の種類や量、または強化機構などは直接影響を与えるものではない。しかしながら、ばね鋼のように高強度に調質されて使用される材料においては、非金属介在物が大きな影響を示す。介在物の大きさが大きい時は、疲れき裂の出発点となるため疲れ限度と引張り強さの非を低下させる。
冷間加工によって強さを得る材料(硬鋼線・ピアノ線・非鉄ばね材料等)は線材の加工度と成形後の低温なましが疲れ強さに影響を与える。
A 形状の影響
部材の断面に変化がある場合は、そこに応力集中が有ることは良く知られている。この応力集中が疲れに影響する。一般の静的破壊試験では応力集中がある場合でも塑性変形をおこしたときに、その変形は
応力集中を緩和するための変化となるため、破壊応力そのものにはそれほど大きな影響を与えないないが、疲れ破壊においては変形なしに破壊するので応力集中の緩和は少なく、この影響は大きい。
ばねのように硬い材質では特にこの傾向が大きい。ばねの場合の応力集中は、板ばねの中心穴、断面形状、コイルばねの内側の応力集中、表面粗さなどによって発生する。
B 寸法効果
疲れ限度は材料の寸法によっても異なる。硬鋼線やピアノ線など加工硬化によって製造したものでは、寸法によって弾性限が違ってくるので当然であるが、熱処理で強度を得たものは同一強度でも寸法が大きくなると疲れ限度が低下する。
C 熱処理の影響
熱処理によって生じた酸化は表面粗さを粗くすることにより疲れ強さを低下させる。脱炭は表面硬さの低下と同時に、疲れに有害な引張り方向の残留応力を生成するため、この両者の影響により疲れ強さを大きく低減させる。
浸炭・窒化は表面硬さを高くすると同時に圧縮方向の残留応力が形成されるので疲れ強さは増加される。しかしながら表面硬化により切欠等の影響を受けやすいため注意を要する。
D 後処理の影響
ばねの永久変形や疲れ強さを改善するためにセッチングやショットピーニングが施される。これについては後述する。
E その他
腐食疲れ、高温及び低温による疲れがある。